自分の脚が痛くなってからあらためて思うこと

Miscellaneous notes

まさに青天の霹靂とは、このことだろう。
電車から降りようと思って立ち上がった瞬間、右足が動かない。

普通こんなことが、急に起こるものだろうか。
あまりにも突然すぎて、理解ができなかった。

駅に降りてから、ちょっとパニックになる

何とか右脚を引きずりながら、電車を降りた。
その時真っ先に思ったことは、本当に家まで帰れるだろうかだった。

あまりに突然の出来事なので、自分だけでは処理しきれなかった。
つまり、奥さんにことの次第を委ねようと考えたのだ。

ウチの奥さんは理系でもないのに、やたら医学の知識が豊富だ。
私も仕事の関係上、少しは知識があるのだが、レベルが違う。
何せ彼女の愛読書は、「家庭の医学」だ。

ある時、病気の話をしていて、奥さんが一瞬黙ったことがあった。
すると急に自分の部屋に行き、なかなか出てこない。
恐る恐る中を覗くと、「家庭の医学」を読んでいるのだ。
ネットで調べるんじゃなくて、「家庭の医学」を見るんだと思った。

そしてホームに出てからも、右脚が痛くてまともに立てない。
右脚をかばいながらホームを歩いていたら、もう目の前には階段だ。

こういう時の男は、本当に見栄っ張りでいけない。
こういう時でもエレベーターを使うのに、抵抗があるのだ。
本当に間抜けな話だと思う。

何とか階段を登り切った時、目の前にエレベーターの乗り口があった。
そうか、もう少し歩けばエレベーターがあったのだ。
何とも言えない徒労感と敗北感に、打ちのめされた。

それから右脚を引きずりながら、下りの階段の前まで行った。
踵を返して5、6歩歩けば、そこにはエレベーターがある。

誰も使っていないのだし、実際右脚が痛いのだからエレベーターを使っても問題ないだろう。
それなのに私の前を、お婆さんが歩いて階段を降りだしたら、つられて自分も降りてしまった。
なぜこんなことをしているのか理解できない自分に、憤りを感じながら下までたどり着いた。

駅からマンションまで4分ほどなので、車で迎えにきてもらうこともできない。
だんだん痛くなる右脚を引きずりながら、どうにか自宅にたどり着いた。

痛みがどんどん増してくる

家に帰ってから奥さんに状況を説明するのだが、どうもうまく伝わらない。
普通に足の筋でも痛めたみたいに思っているようだ。

どうやら、そんなに急に膝が痛み出すわけがないという認識を、拭い去れないようだ。
「何か変な病気だ」と、断言していた。意味がわからない。

どんなに頑張って言って も、痛みは他人に伝わらないのだろう。
たとえ自分の子供でも、その痛みの100分の1も感じることはできない。

結局、大人しく横になっているしか、手立てはなかった。
しかし、どんなに安静にしていても、痛みが収まることはなかった。

これだけ痛みが続くことは、今まで滅多になかった。
どうしていいかわからないまま、夜になってしまった。

脚が痛くて、なかなか寝付けない

その日は禁酒の日だったので、なおさら悪かった。
お酒を抜くと、どうしても寝付きが悪い。

その上右脚が痛いので、なおさら眠れない。
痛みもますます強く感じてくる。

結局2時間以上布団の中で、ゴロゴロしていたと思う。
いつしか疲れて、眠りに落ちたようだ。

痛みが収まらないので、仕方なく病院に行く

基本的に病院が嫌いなので、極力行かないようにしている。
特に、このコロナ禍では、なおさら行きたくない。

しかし、これだけ痛みがおさまらないのでは、仕方がない。
意を決して、まずは病院を探した。

歩いて5分ほどのところに整形外科があったので、そこに行くことにした。
もちろん歩けないので、車で送ってもらった。

受付を済ますと、思ったよりも早くに呼ばれた。
リハビリを受ける人たちは多いのだが、診察を受ける人は少ないようだ。

今まで経験をしたことがないほどの大柄さにびっくりする

とにかく驚いたというのが、第一印象だ。
今時、こんなに偉そうに言う医師がいるとは、思ってもみなかった。

今やSNSが社会に浸透し、ちょっとしたことでもネットに書かれる時代だ。
その上コンプライアンスがどうだこうだと言われる時代に、ある意味逆行するような態度だ。

喋り方が高圧的なのはまだいいにしても、とにかくこちらの話を全く聞かない。
こちらが喋っている途中に、言葉を遮るのだ。

状況を説明しているのに、全く耳をかそうとしない。
それでどうやって問診するのだろう。不思議で仕方が ない。

あと、脚の痛みに対する処置に関して、「コンドロイチンを注射するか、薬を塗る方法があります」と言ってくる。急に言ってきたので、こちらが沈黙していると、

「もう一度言いますね」と言って、同じ文言を繰り返した。
「どちらか選べて言うことですか」と尋ねると、「そうです」と言った。

それなら、「どちらにしますか」を付け加えるのが普通だろう。
こちらがそこまで読み取って、答えなければいけないのだろうか。

足が痛いせいもあり、気がたっていたのだろう。すごく不愉快になってしまった。

ただ、調剤の薬剤師たちは、全員誠実で丁寧

この病院も院外に処方箋を出しているのだが、この調剤薬局がとても感じがいい。
ただ、いつくかの医院を受け持っているのでとても忙しく、割と待たされる。

今回も結構待たされてから、やっと名前を呼ばれた。
立ち上がろうとすると、薬剤師が目の前に飛んできた。
まさに飛んできたと言う表現が、ぴったりなぐらいのスピードだ。

調剤された薬で症状がある程度わかるので、どこかを痛めていると思ったのだろうか。
でも、脚とはわからないはずなのに、私の初動を見て立ち上がるのが難しいと思ったのかもしれない。

「あ、そのままでいいです。私の方が行きますから」と言って、私の前に跪いた。
そして待たせたことを詫びた後に、丁寧に薬の説明をしてくれる。

医師の態度には納得できない点はあるものの、しばらく様子を見る事にした。

本当に徐々にしか良くなっていかない

毎朝起きて右膝をさすりながら思うことは、いつも一緒だ。
「昨日より、少しマシかな」だ。

確かに少しずつだが、確実に良くなっている実感はある。
しかし、本当に少しずつだ。

もしかしたら、これが老化なのかと思うこともある。
若い時ならもっと早く治っているのかなと、思ってしまう。

レントゲンやエコーを撮っても、結局原因はわからない。
いつものことだ。誰が悪いわけでもない。

脚の不自由さを体験して、初めて他人の痛みがわかるようになるのかもしれない

左脚がほんの少し不自由なだけで、ここまで不便だとは思わなかった。
別に入院するわけでもないし、杖を使うわけでもない。

ただ、痛くなることは、極力したくない。
痛みを感じたくないので、動きたくないのだ。

私の母は膝が痛くて、現在まともに歩けなくなっている。
理由は明らかに太りすぎで、体重が重いせいだ。

体重が原因で、膝に負担がかかっているのだろう。
もしかしたら認知症も、影響しているのかもしれない。

それでもこちらから歩くように仕向けないと、本人は全く歩く気がない。
何もかもヘルパーさんや周りの人たちがやってくれるので、最低限のこと以外動く必要がない。
このまま動かない生活に慣れてしまうと、あっという間に寝たきりになってしまう。

なのでさまざまな手段を講じながら、歩くように持っていっている。
ヘルパーさん達に買い物に連れて行ってもらったり、私たちが食事に連れて行ったり、
手を替え品を替え、色々考えながら連れ出している。

その時、必ず足が痛いという。
歩きたくないので、嘘を言っているわけではないとは思っている。
しかし外に連れ出さないと歩かないので、仕方がない。

自分が脚が痛くなって思うのは、もしかしたら私が感じている以上に、
本人は脚が痛いのかもしれないということだ。

今後はそこら辺も考えながら、対処していかないといけないのかもしれない。

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