わたしがブックオフに行かなくなったのには、ある理由があった

Miscellaneous notes

以前は本棚から本が溢れるようになってくると、もう読まないなと思う本をよくブックオフに持って行った。ある程度物理的な許容量を決めておかないと、収拾がつかなくなるからだ。しかし、処分する本を選別しだすと、やたら時間がかかってしまう。結局読み直してみたり、「やはりこれはまだ置いておこうかな」とか考えたりしてしまう。「一時保留」と書いた段ボール箱に詰めて、押し入れの天袋に押し込んだこともある。まあ、この時点で二度と読まないことが確定しているのだが、、、
ある時、大量に本を処分したことがある。このときは買い直せる可能性のある作品と、ハウツー本を処分した。特にハウツー本は、本当にたくさんあった。一時期ハマっていたのだ。というのも野口悠紀雄氏が自身の本の中で、率先してハウツー本を読んでいるといっていたからだ。何だか野口氏にお墨付きをもらったみたいで、嬉々として読み漁っていた。
それがあるとき、急に買うのをやめた。そのきっかけが、奥さんの一言だ。確か勝間和代氏の書籍を買おうとしたとき、「何回同じような本を買うの」と言われたのだ。奥さんは今までわたしが買うのもに対して口を挟んだことが、一度もなかった。ということは今回の行動が、よほど目に余る行為だったのだろう。確かにある時期、何人かの著者の本は、出ればノータイムで買っていた。何かに取り憑かれたように、せっせと購入し続けていたのだ。
例えば、本田直之のレバレッジシリーズは全て買って読んでいた。もういいかなと思っていても、ついつい買ってしまう。奥野宣之、勝間和代、ライフハックシリーズの小山龍介、佐々木正悟なども、書籍が出れば買うという負の連鎖が続いていた。しかし、野口悠紀雄以外は、ほぼ全て処分した。
柳美里や塩野七生、小説の類の作品も、思い切って全て処分した。そして今の段階では、買い直した本はひとつもない。多分もう少し時間がたつと、読み直す時間ができるのだろう。
そして本を処分するために、ブックオフに行ったときのことだ。「1時間ぐらいかかります」と言われたので、先に昼食を済ますことにした。昼食を終えてブックオフに戻ってきたときに、わたしの目の前で本田直之、奥野宣之、小山龍介のコーナーができていた。それも移動式の棚に並べられて、特設コーナーのようになっている。
「えっ、なんだこれは?」と、一瞬状況が飲み込めなかった。今、自分が売った本が、その10倍近い値段で目の前に並べられている。わたしは本を丁寧に扱う。読書するだけなら、帯まで綺麗につけたままにしている。作者別に並べられたコーナーは、確かにインパクトがあった。
本の査定をしてもらうとき、「引き取り価格に不満があっても、返却はできませんよ」と言われていた。そのときは持って帰る気などなかったので、気にも留めなかったが、あらためてその言葉が蘇ってきた。
このときに悟ってしまったのだ。「ああ、わたしたちはブックオフのために、せっせと本を持ち込んできていたのか」と。なんとも言えない気持ちになり、一気に熱が冷めてしまった。そして、それから二度とブックオフに行くことはなくなった。
そうはいっても、本は増える一方だ。仕方なく一時凌ぎとして、本棚を買うことにした。自室のスペースが限られているので、大きな本棚だと奥さんの許可が出ない。かといって、ある程度の収納力は欲しい。そこで目についたのが、天井まで届く壁にベタ付けするタイプだ。これで何とかしばらくは対応できそうだ。
この本棚が想像以上に良かったので、同じやつをもう一つ買おうとしたら、奥さんからNGが出た。キリがないからいい加減にしろということらしい。確かにその通りだ。

今後、本を処理するときは多分、図書館に持って行くだろう。以前はなぜ図書館に寄贈するのかが、理解できなかった。でも、今やっとわかったような気がする。

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