最初にこの本を見た時は、ちょっと驚いた。
新書なのに、英語の参考書のような作りになっていた。
「この1000単語で英文が読める」という副題通り、どうしても覚えてもらいたい単語を1000語ピックアップしている。これだけ覚えれば、英検2級、TOEIC600点、TOEFL500点レベルをカバーできるそうだ。つまり、社会人として最低限身につけたい1000語ということらしい。
そして、「単語の暗記に、努力も忍耐も不要である」と説き、「”勢い”で覚えるもの」だと言っている。そこで晴山氏自身の体験談として、学生時代にドイツの単語を「1か月で6000語覚えた経験」を披露している。「このたった1か月の集中のおかげで、ドイツ語で読めないものはほとんどなくなっていた」そうだ。
晴山氏は「詰め込み」や「丸暗記」を礼賛しており、「忘れるヒマをなくす」ほど何度も復習した方がいいと言っている。
「忘れるヒマを与えなければ忘れない!」
「短期記憶を間髪を入れず中期記憶に移しかえ、中期記憶をすかさず長期記憶に移しかえるという」「ひたすら回転数をあげるという方法」を思いついたそうだ。
「覚える練習」はなるべく短くし、「思い出す練習」を徹底的に繰り返すのが秘訣だ。
夜に覚える作業をして、翌朝そのチェックをするのもポイントだ。
寝る前に英単語を覚えるのがいいことは、他の書籍でも頻繁に言われていることだ。
だがこれが実際には、なかなか実行できない。
夕食時にはお酒も入っていることもや、テレビを見てリラックスしていることもあるので、その後になかなか集中して英単語を覚えようという気にならない。
やはり強制的に時間を設定して、無理矢理にでもやらないと、いつまで経っても覚えようという気にならない。本当に英単語の暗記という作業は、継続するのが難しい。
「単語は名詞から攻略せよ!」
晴山氏は「詰め込み」や「丸暗記」を推奨しているのだが、「無理やり頭ごなしというのは、感心しない」そうだ。まずは「単語調べ」をすることを」勧めている。
対象語や対句、語源などを活用して、いろいろな角度から単語に接していく。
当然、同じ単語も何度か出てくるので、それによって記憶もしやすくなる。
巻末に索引として、取り上げられた1000の英単語が載っているのだが、同じ単語が何度も取り上げられているのがよくわかる。
あと、「単語は文の中で覚えよ!」という教えを、真っ向から否定している。
労力の無駄であって、目的と手段が取り違えられているというのだ。
ではどうしてらいいのかというと、「フレーズの中で覚える」のだ。
「フレーズを通して単語がじわじわ頭に入ってくる」らしい。
発音記号も一緒に載せてほしかった
ただ、唯一物足りないのは、発音記号を載せていないことだ。
多分、発音記号まで併記すると、ページ数も増えてしまうからかもしれない。
しかし、せっかく単語を覚えるのだから、一緒に発音やアクセントまで覚えておきたい。
基本的にそれほど難しい単語はないのだが、発音記号があるだけでも安心できる。
どうやら私は自分で調べて、直接本に発音記号を記入しているみたいだ。
その点はこの本の実践編でもある「実例!英単語速習術」では、解消されている。
1000語全てに、訳と発音記号がついている。その上、例文もついているので、英単語を覚えているかの確認にはもってこいの書籍だ。
誤植が散見される
私の買った本が第1刷であったせいなのか、一部誤植が目に付いた。
今、パラパラとめくっただけでも、続けて2箇所あった。
現在発売されている本では、訂正されているのもと思う。
「strain」に関しては、明らかに「stain」との勘違いだろう。
「実例!英単語速習術」ではちゃんと、「stain」として例文を取り上げている。
「adapt」では、「養子をとる」という例を選んでいる時点でおかしい。
これも「実例!英単語速習術」では、「adopt」の項目で「養子をとる」という説明がされている。
コストパフォーマンスの高い書籍
とにかく200ページ足らずの新書の中に、1000語の英単語が次から次に出てくる。
手を替え品を替え、いろんな形で再登場してくる。
これだけ内容が盛り沢山なのに、私が買った当時は税抜660円しかしなかった。
いくら20年以上前とはいえ、安すぎるだろう。
晴山氏も、「この本を真っ黒に塗りつぶすつもりで」使ってほしいと書いている。
実際、当時、私も色々書き込んでいるが、まだまだ真っ黒にはなっていない。
今から私も1か月で6000語を覚えるぐらいのつもりで、再トライしてみよう。
「英単語速習術」の続編である「英単語倍増術」は、Kindle版で出ている。
あと、「日本人のための英文法」のKindle版もあるみたいだ。