会社を辞める前から、料理には興味があった。
ただ、結婚してから作る機会も時間もなくなってしまった。
もう包丁すら持たなくなって何年も経った55歳の時、年金についての説明会があった。
その時は夫婦同伴でも良かったので、私も奥さんと一緒に行った。
ほとんどが夫婦できており、会場はいっぱいだった。
その時の講師の一人が、定年後の自分の体験談を話し始めた。
そして、その中で「昼飯にうどんぐらい作らないと、奥さんに嫌われますよ」と言っていた。
その後奥さんが時々、「うどんぐらい作らないと嫌われるよ」と言うようになった。
うどんぐらい作ったところで、感謝されるのだろうか。
それなら、インスタントラーメンでもいいのか。
だが、作るモノが問題なのではなかった。
作るコトが大切だったのだ。
ある時、ふっと昼食を作ってみようと思った
昼食を作る気になった一つのきっかけとして、図書館で目についた本がある。
チャーハンの写真につられて、思わず借りてしまった。
というか、「うちで作る」という文言に、つられたのだ。
家でも美味しいチャーハンって、作れるのか。家庭のコンロの火力で、大丈夫なのか。IHコンロでも、問題はないのか。色々疑問はあった。
本当は作り方を詳しく知りたかったのだが、ここではいろんな種類のチャーハンが紹介されていた。
ただ、この中で気になったフレーズが、「フライパンは振らない」と「炒めるときは中火」だ。
前から家でチャーハンを作ってみたかった。
考えてみたら、自宅でチャーハンを作って食べた記憶がない。
家で食べていたのは、出前を取った時だけだった。
ただ、自分の中で勝手に中華料理は家では無理だという先入観があった。
特にチャーハンは、強火で鍋を振るというイメージがあったのでなおさらだ。
うちの場合、料理するのに鍋を振って油を撒き散らすなど、言語道断、問答無用、もってのほか、ダメと言ったらダメだ。あとで拭くからいいですか、とかいう問題ではない。
中火でフライパンを振らなくていいいのなら、IHコンロでも作れるかもしれない。
なんだか自信が湧いてきて、早速作ってみることにした。
まずは先に材料を揃える
具材は白ネギと焼豚、それに卵3個だ。
ご飯はいつも食べている雑穀米を使ってみた。
白ネギも焼豚も少し歯応えを出すために、ちょっと大きめにカット。
油をひけば、後は具材とご飯を放り込むだけだ。
2分もすれば完成。
見た目は悪くない。問題は味だ。
調味料の加減が難しい
いくら目安が書いてあっても、基本的に調味料は目分量だ。
うちの奥さんを見ていても、お袋の場合でも、調味料を入れるときに一切量っていない。
うちは基本的に超薄味なので、今回も味付けは薄めにしている。
「ヨシダのグルメのたれ」を小さじに一杯と、あとは塩・胡椒を少々だ。
本当にこんなに少なくていいのだろうか。経験がないので、加減が全くわからない。
たまに、奥さんが作る料理でも、びっくりするほど味が薄い時がある。
だいたい体調が悪い時か、初めて挑戦する料理の時だ。
ウチでは出された料理に勝手に味を足してないけないという、絶対的な不文律がある。
どうしても納得できない時だけ、小さな声で尋ねてみる。
「これ、ちょっと味が薄いような気がするのですが、、、」と。
そして奥さんが確認してOKが出たら、初めて醤油などをかけてもいい。
それほど調味料の使い方とは、難しいものなのだろう。
なるほど、自分で作ってみても意外に食べれる
料理をする際に、クックパッドやネットなど、いくらでも参照するものがある。
作る手順で困ることは、ほとんどない。
作ろうと思えば、材料さえあれば基本、誰でも作れすはずだ。
要はやる気があるか、ないかだけの話だ。
今回のチャーハンは、見た目はあまり良くないが、味は悪くなかった。
結構な量があったのだが二人で軽く食べたので、奥さんも不味くはなかったのだろう。
とにかく毎日昼ご飯を作るようにしよう。作ることに慣れていくことが先決だ。
味付けはそれから勉強していけばいい。