「英語の時制の使い分け」はとても微妙だがニュアンスは大切

Book review

デイビット・セイン氏の著書は、意外にたくさん読んでいる。どちらというと、セイン氏だからという理由で選んでいるのではなく、本の内容の良さで買っている。

つまり、題名が気になって手に取ってみて、中身が良かったから購入したら、著者はデビッド・セイン氏だったという感じだ。それほど内容がいいということだろう。もちろん、今ではセイン氏の著作であるから、安心して購入できている。

今回読んだ「英語の時制の使い分け」は、最初おさらいとしてさっと読んでみようというぐらいに思っていた。ところが新しい発見があり、いつの間にかメモをとりながら読み進めていた。

1章 時制の基本

まず一番に感心したのは、”I’ll “と”I will “の使い分けだ。これに”be going to”を加えて、その違いを説明している。

"I'll "                「するんだ」という意思をはっきり表す
"I will "             「するよ」と急に思いついたこと
I'm going to"   あらかじめ決めている

そして例文として、

I'll do my report.
I will do my report.
I'm going to do my report.

を挙げて、ニュアンスの違いを日本語訳で示している。

(じゃあ、私が)レポートを書くよ。
私はレポートを(絶対に)書きます。
私はレポートを書く予定です。

また、即答のフレーズに”I’ll”が多いのも、これで説明できる。

I'll catch you later.      またあとで
I'll get right on it.        すぐやるね

また著者は”I will…”で始まる例文の日本語訳では「私は…」を頭に付けるが、”I’ll”の場合は付けないらしい。なるほど、これは面白い。

is just being

「人の性格を現在進行形で表すと、本来とは逆の意味合いが強くなる」というのも、初めて聞いた。というか、単に覚えていないだけかもしれない。

She's mean.
She's just being mean.

どうもこのbe動詞の進行形というのは、昔から意味がつかみにくかった。なので今まで、敬遠してきた。「be動詞の進行形って、、、」と、ずっと思っていた。

ただ今回、少しだけわかったような気がした。「まさに今ものごとが進行している様子」を表しているのだ。だから上記の例文の訳は、こうなる。

彼女は意地悪だ。
彼女は(今)たまたま意地悪なだけだ(いつもはそうじゃない)。

そう!本当はそうじゃないという意味なのだ。今まで完全に逆の意味だと思っていた。つまり、意地悪であり続けていると。恐ろしい話だ。

2章 動詞別 時制の使い分け

最初、動詞別に分けて説明があることに、とても期待していた。動詞によってどれだけのニュアンスの違いがあるのか、21の動詞(うち1つは句動詞表現)ごとの使い方の違いが知りたかった。

期待値が高かったせいか、なぜ動詞別に分けてこれだけ長い説明をしているのか理解できなかった。これだけ冗長に説明されて、頭に入ってくるものだろうか。

その上、各動詞に2セットずつ「問題」が用意されているのだが、その問題文の説明が全て同じなのに、毎回付け加えられている。あまりにもくどくて、途中で嫌になる。

もちろん、読み飛ばして直接解説に進めばいいのだが、42回も続くことにある意味恐怖すら感じる。いったいここまですることに、何の意味があるのだろう。

それも章の初めに「読み方」として、詳しい説明がある。この一度の説明で十分だろう。これで済ましていれば、10ページ近くは容量を減らすことができる。

3章 時制と副詞表現の相性

ここでは20個の副詞を取り上げて、時制との相性を検証している。違和感のない順番に、◎・○・?で例をあげている。

最初はそれほど感じなかったのだが、途中から◎では、「…は非常に相性がよく、自然な英語になります」の一点張りになっていく。説明の最後の部分もほとんど、「…形ではほとんど使われることはないと思います」で締めている。

もちろん、本の内容とは関係はないのだが、妙に引っかかり気になってしまう。ここまで画一的な文章も、今まであまり見たことがなかったような気がする。

何だか1章と比べると、2章、3章は全く別の本のような気すらしてくる。もしかしたら、ここで著者を分けているのだろうか。

共著者 古正佳緒里氏

研究社の「ネイティブが教える」「使い方・使い分け」シリーズで、数冊デビッド・セイン氏と一緒に本を書いているようだ。しかし、個人的な情報が全く記載されていない。

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