今までも本を読んでいるときに、何度か「モンティ・ホール問題」に出くわした。最初は何のことか、意味がよくわからなかった。だからといって、それ以上に深く考えることもなかった。早い話が、軽く流していたのだ。
その後も何度目も目につくようになり、「一度はちゃんと理解しないといけないな」と思うようになってきた。毎回なんとなくわかったような気もするが、どうもしっくりこないのだ。
<投稿された相談>
ウィキペディア(Wikipedia)より
プレーヤーの前に閉じた3つのドアがあって、1つのドアの後ろには景品の新車が、2つのドアの後ろには、はずれを意味するヤギがいる。プレーヤーは新車のドアを当てると新車がもらえる。プレーヤーが1つのドアを選択した後、司会のモンティが残りのドアのうちヤギがいるドアを開けてヤギを見せる。
ここでプレーヤーは、最初に選んだドアを、残っている開けられていないドアに変更してもよいと言われる。
ここでプレーヤーはドアを変更すべきだろうか?
心理トリックのような感じで、確率論やベイズの定理を使って説明されても、なかなか納得できない。「直感で正しいと思える解答と、論理的に正しい解答が異なる問題」として扱われることが多く、そのためジレンマあるいはパラドックスともいわれている。
久々にまた「モンティ・ホール問題」に出くわす
先日図書館で、ニュートンの大図鑑シリーズを2冊ほど借りた。その中の1冊であるパラドックス大図鑑で、「モンティ・ホール問題」を扱っていた。
まあ「パラドックス」と銘打っているので、この問題が出てくることはある程度は予想はしていた。4ページにわたって図や表を使い、丁寧に説明してあった。
ただ、この中の説明でこの問題を、「当てずっぽうで選んだドアが当たりである確率と、当てずっぽうで選んだドアがハズレである確率」を比べる問題であると書いている。
このとき、「なるほど、確率を比較する問題なんだ」と、妙に納得した。ちょっとしたきっかけというか、ある言葉によって、引っかかっていた問題点を解決してくれたりすることもある。
なお、「モンティ・ホール問題」と実質的に同型である「3囚人問題」が、「モンティ・ホール問題」の前に説明されていて、理解の助けになるように配置されている。
最初にちゃんと考えたのは、「論理のパラドックス」
もう20年以上前に買った本だ。
買った当初はあまりにも難解でわかりにくく、途中で投げ出していた。改めて読み直したのは、確か10年以上経ってからだと思う。
そのときは少し「論証力」に磨きがかかっていたのか(?)、何とかつっかえながらも最後まで読み通した。途中でどうしても納得できないこともいくつかあったが、だいたいは何となくだが理解できた、と思う。
その時につっかえたものの一つが、「モンティ・ホール・ジレンマ」だ。もちろん、この本でも「モンティ・ホール・ジレンマ」を説明する前に、「3囚人問題」が取り扱われている。
いい機会なので、あわせてふたつを読み直してみた。すると、何故だか意外と難しく、理解できなかった。読み返したおかげで逆に、よくわからなってきてしまった。
あと、この説明の最後に、「ちなみに、解答者がどのドアを選んだか知らない司会者が、たまたまそれ以外のドアを開けてハズレの場合は、残り2つのドアが当りである確率はともに1/2である」とあり、これがまた話をややこしくしている原因かもしれない。
チャート式数学Ⅰ+Aにも参考事項として、「モンティ・ホール問題」が出てくる
あと、チャート式の数学Ⅰ+ Aにも、「モンティ・ホール問題」取り上げられていた。
ここでは「条件付き確率」の項目で、「ベイズの定理」を使って説明している。
3つのドアをA, B, C とする。 最初にドアAを選択する。 司会者はドアCを開ける。 ドアA, B, C に景品が隠れているという事象をそれぞれA, B, C とすると
P(A)=P(B)=P(C)=\(\frac{1}{3}\)
司会者がドアCを開けるという事象をXとすると
PA(X)=\(\frac{1}{2}\), PB(X)=1
\(A \cap X, B \cap X\)は互いに排反であり、\(X=(A \cap X) \cup (B \cap X)\)であるから
P(X)=\((A \cap X) + (B \cap X)\)=P(A)PA(X) + P(B)PB(X)=\(\frac{1}{3}\times\frac{1}{2}+\frac{1}{3}\times1=\frac{1}{2}\)
司会者がドアCを開けたとき、ドア A , B に景品がある確率はそれぞれ PX(A), PX(B) となり、ベイズの定理により
PX(A)=\(\frac{P(X \cap A)}{P(X)}=\frac{1}{6}\div\frac{1}{2}=\frac{1}{3}\), PX(B)=\(\frac{P(X \cap B)}{P(X)}=\frac{1}{3}\div\frac{1}{2}=\frac{2}{3}\)
PX(A)<PX(B) なので、ドアを変更した方がよい
これを一読しただけで理解できる人が、世の中にはいるようだ。
この「ベイズの定理」に関しては、前のページで説明されている。しかし、1ページで理解できる内容とは思えないが、今の高校1年生ではこれぐらいが普通のレベルなのだろうか。
ちなみに、この数式は「LaTeX(ラテフ)」というコンピュータ文書作成システムを使っている。WordPressのテーマに Cocoon を使っているのなら、プラグインせずに使えるそうだ。
「ゆちなち通信」で詳しく解説されている。
もちろん、プラグインも豊富に用意されているので、WordPressを使っている人はぜひ試してみて欲しい。
例えば、このような式も簡単に書ける。
$$x=\frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4 a c}}{2 a}$$
$$ \int^{b}_{a} f(x) dx = \lim_{n \to \infty} \sum^{n-1}_{i=0} f(x_{i}) \Delta x $$
確かに美しい。
とにかく最初にハズレのドアを選べば、最後は必ず当たる
さて、本題に戻ると、結局のところ「最初にハズレのドアを選ぶと最終的には当たり、最初にアタリのドアを選ぶと最終的にはハズレる」ということだ。
つまり、ハズレのドアは二つで、アタリのドアは一つなので、当たる確率は最終的に2/3になる。だから、ドアを変えたら確率が二倍になる。
これが王道の解説らしい。これを直感的に分かる人もいるらしいが、わたしは何度本を読み直してもモヤモヤした感じが残った。なかなかスッキリと、納得できなかった。
司会者と一緒に、同時にドアを開ける
司会者に先にドアを開けさせるのではなく、挑戦者と一緒にふたつ同時にドアを開けるという考え方は、直感的にわかりやすいかもしれない。
つまり、「今選んだ一つのドアにしますか、それとも、他の二つのドアにしますか」と聞かれている感じだ。
同時に開けるということで、「二つのドアを一度に選んだ」というイメージが出てくる。
ドアの数を極端に増やす
わたしが一番直感的に理解できたのが、このやり方だ。つまり、ドアを3個から100個に増やすのだ。
挑戦者がドアを1個選んだ後に、司会者が残りの99個のドアから98個のハズレのドアを開ける。そして、こう挑戦者に問いかける。
「ドアを変えますか、それとも変えませんか?」
この場合、ドアを変えない人はほとんどいないだろう。これだと最初に選んだドアがアタリである確率は1%で、変えた場合のドアがアタリである確率は99%であることは、直感的に理解できやすいのではないだろうか。
もし、これでも納得できない人は、ドアの数を1万個にしてみてもいいかもしれない。
実際にやってみると、意外と実感できる
司会者役を一人用意し、トランプ3が枚もあれば、誰でも簡単にできる。
30回もやれば、それなりの傾向が出てくる。
できれば、カードを変えるパターンと変えないパターンを、それぞれ両方やった方がわかりやすい。