とにかく斬新だった「英文法の謎を解く」 副島 隆彦

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初めて副島氏の文章を目にしたのは、別冊宝島の「道具としての英語基礎の基礎」だったと思う。
もう内容は全く覚えていないのだが、とても感心したことだけ覚えている。

自分の中で英語に対する考え方が、変わったような気がした。
その時から副島氏のことは気になっていた。

そして数年後に発売されたのが、「英文法の謎を解く」だった。

「英文法の謎を解く」三部作

とにかく斬新だった

初めて「英文法の謎を解く」を読んだときは、衝撃的だった。
何せ第1章の初っ端から、「なぜ、日本人は英語がへたなのか」と書いている。
もう、「へた」だと決めつけているのだ。

そして東アジア諸国と比較して、「言語学的方法に基づいて論究して」いる。
まずは英語をピジンとクリオールに分けて、その違いを説明している。

例えばカリブ地域で話されている英語は、クリオール英語だ。
簡単にいうと、統辞規則(文法)が英語と同じなのである。
そして日本人の英語はピジンなので、英米人には聞き取ってもらえない。

また、クリオール英語は、「親から子供へと、代々伝わっていく英語」であり、「それ自身が正統英語に過不足ないように伝わっていき」、「自己増殖できる」英語らしい。

例えば、自分の英語がクリオール化するというのは、

「僕は   思うん      だよね。     君は    すべきだよ。 それを」
     ↓      ↓             ↓            ↓        ↓     ↓         ↓ 
     I       think        that        you   should  do         it.

のように、「日本語の統辞から離脱して、英語化していくこと」らしい。

クリオール英語についてはウィキペディアでは、「クレオール言語」としての説明があった。

クレオール言語(クレオールげんご、英: creole language)とは、意思疎通ができない異なる言語圏の間で交易を行う際、商人らなどの間で自然に作り上げられた言語(ピジン言語)が、その話者達の子供たちの世代で母語として話されるようになった言語を指す。公用語や共通語として使用されている国・地域もある。

ウィキペディアより

「統辞論と意味論の両方から考えよう」

「’grammatically OK’だけど’semantically not good’ということが、実に多い」らしい。
「文法的には正しい文だが、意味論的には間違い」ということだ。

私たちは「文法上の諸規則を勉強」させられて、「意味論上」の説明なしに英文を読まされてきた。だから「ただなんとか無理矢理推理しながら、自分なりに自然な日本文に訳そう」と「みんながもがき苦しん」できた。

確かにこれに関しては、思い当たる節がある。今はどうだかわからないが、我々の時代は「文法絶対主義」だった。だからどうしても日本語訳がくどくなり、不自然になってしまう。しかし、意訳することは認められていなかったので、仕方がなかった。

「英文長文読解」では、背景説明等もなく、「抜き出された難しい英文を読まされ」続けてきた。もう、前後の文意とか関係なく、機械的に日本語に訳していた。

この「日本人英語」を改良するためには、「統辞・文法学の面から英語を考えることと、文脈を解読することの面から英語を考えることの両者を統合しなければ」ならない。

英語関連の新しい書籍が待ち遠しい

副島氏は代々木ゼミナールで英語の講師を務めていたこともあり、英文法関連の著作は他にも幾つかある。日本の英語教育に関して疑問があるようで、様々な話題を振りまいている。

研究社刊行の英和辞典は間違いだらけであるとする著作を発表したりして注目を集めたが、それでメディアでの知名度を高めたようだ。(ウィキペディアより)

あと、作者紹介の写真でのポーズも、個性的で独特だ。

「英文法の謎を解く」三部作

現在は評論関係の執筆が多く、英語関係の書籍は少ないようだ。
私も以前、経済関連の書籍を買った記憶があるのだが、何を買ったかはもう覚えていない。
本棚を探してみたが、見つからなかった。

副島氏はまだまだ精力的に活動はしている。
また是非英語関連の書物も書いて欲しい。

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